瞑想を実践されていて,ヨガを教えている方からの体験記(鉗子分娩/喪失感)体験記一覧に戻る

ROLFINGについて 

花村 睦

ロルフィングを御願いしようと思った一番の理由は、
私を無条件に愛してくれた父が3年前に亡くなって、悲しみが薄くならなかったからです。

実家に帰って、優しく微笑んでいる写真を見ると、父は幸せな人生を送ったのだろうか…、
私は、父の気持ちや想いを知って父を看取ることができたのだろうか…などと考え、
必ず涙が流れました。喪失という本当の言葉の意味を、今まで知らなかったと思いました。
そして、私の気持ちは、決して言葉で説明できるようなことではない…と分かっていました。

この気持ちを断ち切るのではなくて、自分の内側に大切に納めたいと思っていましたが、
『スピリチュアルなヒーリング体験』を騙る怪しげなヒーラーが存在することを知っているので、
『科学的に説明できるような根拠を持った人』に、自分の状態を見てもらおうと決めていました。

二つ目の理由は、母が私に繰り返し話してくれたことでした。
当時分娩時に麻酔をすることが流行して、私を産むときに、母は繰り返し麻酔をされました。
母は、2日間麻酔をされて体力的に限界になり、私は「かんし」でこめかみを挟まれて産まれてきました。
小さい頃は、とても怖がりで2歳近くまで、誰かに手をつないでもらわないと歩けなかったそうです。

産まれてきたときの私に何が起きていたのか分かりませんが、自分が産まれた瞬間が、
自発的なものではなくて、誰かに強いられた結果だということ(その意味)を、昔から考えてきました。

田畑さんのHPの中で、出産時のトラウマについて体験のあった人の話を読んで、
田畑さんにロルフィングの施術をして頂くことで、自分が今まで長い間持ってきた疑問を
解決できるのではないか…と思いました。

そして、20年程前に、初めてロルフィングのセッションを受けたときに、『心だけでなく、
身体の筋肉も感情を覚えている』とロルファーの方が話していたのを思い出したので、
もう一度、ロルフィングを受けようと決意しました。

自分の中の大きいテーマはこの二つでしたが、10回終わってみて新しい気づきがあったことが
いくつかありましたので、その中で大きい体験を書いてみることにしました。

初回、施術を受ける前に治療台に座って真っ直ぐ前を見たときに、
床と壁の境目が右にかしいで、ボールをころがしたら、勢い良く右にころがりそうな感じがしました。
首も左後ろに曲がりませんでした。

施術中に、田畑さんに頭を持たれて、呼吸に意識をむけていたら、首と頭のつながり部分が
伸びて広がりました。
首がどんどん伸びてきて、鼻の裏のあたりが、鼻水がながれるような詰まった感じがしました。

突然、涙が流れました。恐怖感、自分を変えられるような嫌な気持ち感じていました。
呼吸を続けて落ち着いてきたら、涙がとまり、また後頭部のあたりが伸びました。

自分にとって、一番体験が大きかったことです。今現在は、首にかなり自由さを感じています。
左後ろに首をねじっても、稼動域が広がっているのがわかります。

「かんし」分娩の後遺症とも関係があるのか…と考えたりしますが、自分では良くわかりません。

3回目が終わったころに、自分の感情がまっすぐに直接的になってきたことを感じました。
特に、怒りを悲しみにすりかえずに、怒りの感情としてまっすぐに感じられるようになりました。
人に向けてはいけないような、暴力的な感情であることに戸惑いを覚えました。

それと同時に、瞑想中に首が良く動くようになりました。(以前から瞑想をしています)
ある時、夜11時頃寝て夜中の1時頃目が覚めて、瞑想をしたことがあります。
突然首に大きな動きが起きました。
勢い良く水が出たホースを地面に放っておくと、ホースがグルグル回転するような感じ。
頭の中にある何かを脱水機が回って脱水しているような感じ。 
20分位続いたあとで静かになり、その後の眠りはとても深くて、本当に静かでした。
それが最後で、それ以来、瞑想中に首が極端に大きく回ることはありません。

3回目が終わったあとで、ひどい腰痛になりました。
立っていることができずに、1日寝込みました。ホットタオルで暖め続けたら、痛みはなくなりました。
時々、セッションの後で腰や膝が痛む事がありましたが、通常は暖めれば1日か2日で治りました。

4回目が始まる頃には、肋骨の左右の動きをはっきりと自覚できるようになりました。
肋骨が自分を他人と区切っているような、自分の胴体が独立したような感じ。
呼吸が横に広がって、肺に広がりを意識しました。

相反するようですが、
それと共に、外側の筋肉や骨が自分を支えているのではないという体験がありました。
背骨が支えているという単純な感覚ではなくて、内側の力が外に広がって自分のコアを感じました。
自分を外側からよろいやコルセットを着て支えなくても、ガードしなくても良いという感じです。
外から自分を固めるのは間違っているような感じで、自分の身体への印象が変り始めました。

10回のセッションが終わってから、いつの間にか、腰が痛む事がなくなりました。
以前は、深い前屈などのヨガのポーズをすると、腰が痛むことがありましたが、最近痛みはありません。

施術中は、骨盤まわりがゆるんでカタカタと動くのを良く感じました。
終わった後で、ボンヤリして、電車を乗り過ごしたこともありました。
その感覚から、日常の身体の感覚へと戻っていく時間を、とても大切に思いました。
自分の身体に対する気持ちが良いものへ変わることを、いつも望んでいました。

施術後半になると、ボイストレーニングの先生や、水泳の先生に、痩せたわけではないのに、
ボディラインが変わった(すっきりとした)と言われるようになりました。

最近は、特にダイエットをしているわけではないのに、お腹まわりと背中の脂肪が、少しずつですが、
落ちてきました。
ようやく、外側で自分を守ってきた脂肪をはいらない…ということを、マインドが理解してくれたように
思っています。

喪失感と、分娩時のトラウマの解消については、正直なところ、まだ良く分かりません。
もう少し時間が経ち、何か関連するような出来事があったときに、自覚ができる新しい気づきが
でてくるのではないかと思い、ゆっくりと自分を育てようと思っています。

これからは、急がず、ゆっくりしたペースで、田畑さんにロルフィングの施術を受けて、
心と身体の調整をしていきたいと思っています。

心から感謝しています。

ロルファーのコメント

Rolferとしては,トラウマ自体に焦点を当てることはしませんが,出生時に生じたであろう,頭蓋骨自体の流動性や硬膜等の深部結合組織の歪みとして捉えることができます。鉗子がつかんだというこめかみは,Sphinoidという頭蓋の中心に位置する重要な骨です。そこに負荷がかかるということは相当な影響があるはずです。しかし,その影響は,呼吸との連携や組織の微細な動きを引き出すことで解放されます。初回はそれらの連携を引き出すことで呼吸につなげるセッションでした。次回いらっしゃるときには,頭部の流動性と呼吸との連携をよりrefineするセッションにしたいと思います。私自身は,鉗子ではないのですが,吸引によって生まれてきているので,何か感覚を共有できるところがあるのかもしれません。今後のセッションが楽しみです。